文化庁主催の青少年劇場公演の為、四国を訪れ、その時に見た四万十川の印象を箏・三絃・尺八の三重奏曲にまとめました。日本最後の清流と云われる四万十川、あくまでも清らかな水、その堂々たる流れは見るものを悠久のかなたへいざないます。中間部には、組歌「雲井の曲」の五唄目を引用し地歌風に、又後半は高知という土地の持つ明るさを取り入れ、華やかに終わります。(1991年作曲)
「雨のエチュード」、「風のエチュード」と共に初級・中級者の為の練習曲です。
出始めは、野に咲く可憐な花のイメージで可愛らしく弾いて頂きたいと思います。後半の十六分音符が続く所は、Ⅰ箏・Ⅱ箏とも同じリズム型が多いので、よく練習してきちんと合わせて頂きたいと思います。(1989年さざなみグループ委嘱曲)
お正月のテレビ番組に出演の折、限られた短い時間で「さくらさくら」を演奏する為に作りました。各パートが違った形で「さくら」のメロディを演奏出来るように編曲してあります。また調弦を壱越(D)の平調子として、気軽に弾いて頂けるようにしました。(1990年7月編曲)
赤道付近から流れる水温の高い海流を「暖流」と云いますが、余り直接的意味はありません。言葉を発音した時のトーンが持つ暖かさ、柔らかさからイメージをふくらませ、書き上げた作品です。曲は尺八の流れるようなメロディで始まり、歯切れのよい箏のリズムを基礎にして、賑やかな合奏となる。中間部には、箏・尺八のカデンツがあり、それぞれのテクニックを聞かせ、そしてかけ合いの面白さをとり入れながら華やかに曲は終わります。(1992年作曲)
周囲を海に囲まれた国、日本。日本人にとって海の恩恵を受けない人は居ないでしょう。私の生まれた岡山も瀬戸内海に臨み、海を身近に育ちました。海は日々、また刻々と様相を変え見るものに感動を与えてくれます。
瀬戸内海からの夕映えは、口では言い表せない程の景色です。波の音、海を渡る風の音は詩となって耳に残ります。
以前から温めていた印象をもとに、中級者向きの合奏曲にまとめてみました。中間部には、舟唄の感じを取り入れのどかさを、また嵐の海の不気味さも取り入れ、曲の一つのアクセントとなっています。(1990年6月作曲 宮城会コンクール作曲部門入賞作品)
京都の「さざなみグループ」から委嘱されて作った私の処女作品です。高音の第一箏、低音の第二箏による初心者向きの二重奏曲で、古典の形式をもとにして、リズムと音程には少し現代の感じを入れて作曲しました。出来上がった時期が六月ということもあって「雨のエチュード」と題を付けました。(1993年作曲)
ギリシャ神話に「エオリアの琴」というのがあります。石の神殿に置かれた琴(タテ琴)に風があたり、その風の強さによって色々な音楽を奏でるという、ロマンチックなお話しです。前奏部はその風が奏でる音のイメージで、また中間部にはギリシャ音階を使って変化をもたせました。(1993年作曲)
1992年の2月に韓国・香港公演旅行で釜山・済州島・ソウル・香港を巡りました。私にとっては二度目の韓国でしたが(十年前)、オリンピック以来めざましい発展を遂げ、その繁栄振りには目を見張るものがありました。国と国との難しい問題はありますが、私達音楽にかかわる者は、その少しでものクッション役と、いつも自覚しております。この度は特にその思いが強く、一番身近な外国としての韓国、私の一番尊敬する宮城道雄先生も生活され、そこから数々の名曲が生まれた韓国、そのような熱いものを胸に感じながら演奏をしました。帰国して、その気持ちを残したいと思い、アンコールに弾いた韓国民謡「アリラン」を中心に作曲しました。中間部には、自分のオリジナル曲をはさみ、アリランの哀愁と、韓国の人達のある種の明るさを自分なりにまとめてみました。(1993年5月作曲)
鎌倉に稽古場を持って随分長い時が経ちました。京都に次いで古い都の趣を持つ鎌倉をテーマに何か曲をと考えておりました折、所属している鎌倉三曲協会から依頼を受けました。
鎌倉にゆかりの将軍源実朝の歌を取り入れ、古都の隆盛を願う気持ちが唄われ、それに加えて三曲の繁栄を祈る気持ちが込められています。
(鎌倉三曲協会創立二十五周年記念委嘱作品 1995年6月7日作曲)
この曲は岡山城(別名烏城)築城400年祭を記念して、岡山市より委嘱されて作曲いたしました。
岡山城は豊臣秀吉の家臣、宇喜多秀家によって慶長二年(1597年)に築城されましたが昭和20年の戦災で焼失、その後昭和41年に再建され岡山市のシンボルとして市民に親しまれ愛されています。この岡山城をテーマに作曲するにあたり、岡山を代表する場所、後楽園、旭川等を歌詞に取り入れました。旭川にかかる橋から青空にくっきりとそびえる烏城を見るとき、心安らぎ、いつまでも大切にしたい景色と思います。
曲は箏2パート、十七絃(低音の箏)、尺八の合奏曲で、人々が四百年を迎えた烏城を讃え誇りに思う気持ちが歌と合奏によって表されています。
(1997年3月岡山市委嘱により作曲)
日本各地に古くから伝わっている「手まり唄」として知られている「数え唄」を箏Ⅰ・Ⅱ・十七絃と尺八の四重奏曲に編曲しました。初版は5つの変奏として作りました。
2002年より小・中学校で和楽器を導入し、生徒に実際に演奏させる事が義務づけられました。そのため子ども達が興味を持って楽しく演奏出来る、しかも易しい曲が必要となりました。この曲はアニメーション映画で世界的に有名な宮崎駿監督作品で大ヒットした「千と千尋の神隠し」のテーマ曲です。その解り易く、美しい旋律でこの主題歌はヒット曲となり、子ども達にとてもなじみの曲となりました。
各パートは易しく歌だけでも参加出来るようになっています。
(2004年鎌倉三曲協会委嘱作品)
東日本大震災の復興も未だにはかどらない様子を目に致しますと、心が痛みます。被災者の方々の為に何かお力になれないかと常々思い、私といたしましてはやはり音楽の力を借りてという結果に至りました。
辛い時には心に歌をと言う言葉を耳にしますが、誰もが親しんでいる名曲を箏三重奏にアレンジしてみました。
「花」は恵まれた美しい自然への喜びを歌い、「ふるさと」では生まれ育った忘れ難い土地への深い思いが溢れ、「上を向いて歩こう」はどんな困難にも負けず、進んでゆく勇気を与えてくれる曲です。
演奏者とご一緒に歌って頂ければと思います。(2012年作曲)
昔から青い色が好きでした。沢山の色彩の中で、青い色は私にとって一番心がいやされ、しかも品格があり、特に近年開発された発光ダイオードの青い色が輝く時、余りの美しさに時を忘れて魅入ってしまいます。又かつて人間として初めて宇宙旅行を成功させた飛行士ガガーリンが言った余りにも有名な「地球は青かった」という言葉の通り、人類が平和を守る限り地球は青いのです。その平和の象徴である青い色と、この度の委嘱者堀田さんが育った横須賀の青い海。又私の育った瀬戸内海の青い海がいつまでも美しく輝いてほしいという願いを込めてこの曲を書きました。
曲は三楽章からなり、それぞれ「輝く波」「追憶」「ブルーラブ」というタイトルが着いています。(2010年1月作曲)
富士は日本人にとって特別な山です。「フジヤマ」という言葉は日本の代名詞として世界中で知られており、二〇一三年に世界文化遺産に登録されてからは、その美しい姿を写真などで今まで以上に多く見る事が出来るような気が致します。古来より信仰心の厚い人々からは神の山として尊敬され、元旦に富士山頂から御来光を拝む事は一種の厳かな祭事であり、誰もが憧れる行事と云えましょう。
富士山の一番の魅力は何よりその姿。どっしりと重量感のある 頂上から流れるような美しい稜線が裾野まで誠にゆるやかに続き、それが見る者に安らぎを与えます。この美しい姿がいつまでも変わらず、日本だけでなく世界中の人々から愛されて欲しいという思いを込めて作曲しました。
詩は「春・夏・秋・冬」の四編からなり、季節ごとの美しさを見せる富士を詠んでいます。また途中二カ所に源実朝の「金槐和歌集」より句を選んで用いてあります。曲は箏二パートに三絃・十七絃・ 尺八(二部)の五重奏の形を取り、部分的に箏と十七絃のカデンツがあり、箏・三絃・尺八のみの古典風な部分もあり、曲に変化をつけています。歌は一箏・二箏で合唱形式になっており、最後は富士山の美しさを永遠にと力強く詠い上げています。(2014年8月作曲)
改訂版では3カ所に箏のカデンツァを入れ、尺八も部分的に3パートにして曲を少しふくらませました。時間的或いは演奏者によって選んで演奏する事が出来ます。
1992年代、自分の音楽人生にとって大切な人がこの頃次々と亡くなられ、悲しみに打ちひしがれていました。その方々への感謝の思いと、二度と逢えない悲しみを音にしてみました。
レクチャーコンサートシリーズの第十一回目の為に作曲しました。私にとって初の独奏曲となりました。舞台人として、いつもキラキラと輝いていたい。そういう思いが込められています。(1990年12月作曲)
"夏"という言葉の持つイメージは、一般的には「暑い、明るい、開放的、さわやか」と言ったところでしょうか。しかし広島の方にとってはどうでしょう。"夏"と言えば、ああ又あの時の夏が来た。忘れたいと思うと同時に、あの痛みは忘れてはならない、特別の思いでしょう。他のどこにもない、"夏"が広島にはあるのではないでしょうか。
私の故郷は岡山です。お隣の県の事は小さい時から聞いていました。いま、演奏家として作曲活動もするようになって、広島に対するイメージを箏の曲にしてみました。直接的に悲しみや悼みを表現してはいませんが、私なりに祈りを込めて広島に捧げたいと思います。この曲は平和へのメッセージとして、1993年に広島市で開催された全世界の平和宣連帯都市市長会議の折に初演されました。(1993年7月作曲)
自然現象の中で雨や風に比べると雪が一番創作対象として魅力がある様に感じます。
周知のことですが、雪には細雪・粉雪・泡雪・玉雪・綿雪・牡丹雪・餅雪・べた雪・流れ雪・水雪などその形状にそれぞれの名前がついています。
又古来より雪女の伝説など、物語も豊富です。
降り積もった時の白一色の美しさ、太陽に照らされて光り輝くダイヤモンドダストなど、究極の美を作り見る人を幻想の世界へといざなってくれます。しかしその反面、降り方によっては猛吹雪となって人を死に至らしめる恐ろしさも持っています。
ほんの少しの熱で消えてしまう儚さと、吹雪の時の威圧感、相対する現象に引き込まれる魔力を感じます。
箏と尺八は雪の美しさ、はかなさを、三絃では雪の激しさ、生命感を表しています。(2015年10月作曲)
日本の伝統楽器である“箏(琴・こと)”で楽しく合奏できるようシンプルに、そしてFoorinバージョンと米津玄師バージョン、それぞれの原曲にほぼ忠実に、かつ何よりも「お箏らしく」を念頭に、二つの異なるkeyを二種の調弦(チューニング)で演奏できるよう、また、イントロや細かなメロディーの異なる箇所を分かる範囲で表記してあります。
さらに“調子替え無し&強押し無し”で演奏することができますので、小さなお子様や初心者の方々を初めとして“お箏”を愛好する皆様に、そしてこれから“お箏”を弾いてみたい、また、日本の音色でこの曲を是非聴いてみたいと思ってらっしゃる方々に、楽しく弾いたり聴いたりして頂けましたら…というたくさんの思いを込めました。
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